あるがまま、自然体で生きる

諸富祥彦著「自己成長の心理学」より抜粋
カウンセリングとは、人が”自分らしく”生きるのを援助するための理論と方法のこと(カール・ロジャーズ)
カウンセリングとは、「ほかの誰かに助けてもらう」ことでも「本人の代わりに問題を解決してあげる」ことでもありません。あくまでカウンセリングを受けている方が「自分で」自分の問題を解決するのです。ロジャーズの作り上げたカウンセリングとは、人が自分の心の声に耳を傾けることによって自分を取り戻していく。自分自身になっていく。そのプロセスのことを言うのです。
より自分らしい、あるがままの自分を生きるとは、他者からの期待や、「こうあるべき」という思い込み、そして仮面をつけていた「偽りの自分」から離れていき、その時々の自分の気持ちに従いながら、そのプロセスを生きるようになっていく、というわけです。
私たちはふつう、自分を変えようとする時、「こうしなくてはいけない」「もっと、こう考えた方がいい」などと、自分に何か正しいことを言い聞かせようとします。自分に何かを言い聞かせて、自分をコントロールしようとするのです。しかし、ロジャーズによれば、むしろ、そのような自分で自分をコントロールしようとする姿勢そのものが私たちを変化できなくしてしまうのです。私が、自分のあるがままを受け入れることができた時に、わたしは変わっていくのです。
そして、「人は、他者との関係の中ではじめて『自分自身』になることができる」といい、そこにカウンセリングの意味がある」というわけです。