紙のワーク

A4サイズの白紙一枚、四つ折りにたたんだものをテーブルの前に座っている人から、言葉もなく、さりげなく渡されたとしたら、あなたはそれを受け取って、どんなふうに振る舞いますか?
わたしは、紙を受けとった後、四つに折られた紙をひろげ、相手がこの白紙にどんな思いをこめたのか想像してみました。何も綴られていない白紙を眺めながら、相手のメッセージをさっと読み取り、相手の思いを自分はどう受け止めたのかを白紙に表現して返してあげたいと考えた。その一方で、早く答えをださないといけないという思いにかられ、強いプレッシャーを感じた。しばらく考えたものの、苦しい思いがこみ上げて来るだけで、相手の気持ちなど何も読み取ることはできなかった。結局、わたしは子供のころ折り紙でよく作った紙飛行機の作り方を思い出しながら折り始めてみた。しかし、作り方をなかなか思い出せなかった。紙飛行機が完成されないまま、面倒くさい思いもあって、私はそれを相手に向かった飛ばした。相手は自分に向かって飛んできた紙飛行機を再度ひろげ、また四角の角を折り畳んでから、再度私に渡した。私は今度も、最初と同じで、考えるのが億劫で、いい加減に紙を折り曲げて返した。相手は、紙を丸め、私の顔にむかってその紙をやんわりと投げつけた。ワークはそれで終わった。思うようにできない自分が情けないという思いがして、さみしい気持ちになった。
言葉がないと相手の気持ちが読み取れない自分(言い方を変えれば、表面上の言葉だけしか聞けない自分)、言葉がないと相手の気持ちを理解できない自分、相手の気持ちを察してあげようという思いやりのない自分、自分の想像力の貧困さなどをつくづく思い知らされたワークでした。