「頑張ろう!」と声掛けする前に

一番かどうかはともかく、日本人が大好きな言葉の代表というと「頑張ろう!」だろう。自分自身に対しても、他人に対しても、何かと言うとすぐに、頑張ろう!、頑張って!と声掛け、励ましあうことが多い。もちろん、悪いことではない。
今朝の読売新聞のコラム「声援」(復興をめざして)に精神科医香山リカさんがこう書いている。被災地の人びと、ひとりひとりが胸の中にそれぞれの悲しみ、苦しみ、今後の課題を抱えている。その人たちに、「さあ、心をひとつにして復興ですよ」などと言ってよいものかどうか。抱えている問題も人それぞれなら、立ち直りのペースもバラバラであるはず。一斉に立ち上がる必要はない。復興への歩みもそれぞれのペースでいい。「自分だけ乗り遅れているのではないか」などと悩む必要はありません、と。
われわれ日本人は、つい気合を入れて!とか、気力で頑張ろう!とみんなを同列扱いし、同じ所に同じやり方で引っ張って行くことを良しとする傾向が強い気がする。ケースバイケースというか、時に応じ、人に応じてきめ細かく対応できることが望ましいことは言うまでもない。「ともに、頑張ろう!」と安易に声掛けする前に、相手を尊重し、相手を大切に思いやるなら、どうすることが適切か想像力を働かせて考え、行動したい。