映画「人間の條件」を観る(3)

一昨日に第五部を観て、先ほど第六部を観終わった。全六部で通算9時間半くらいになるらしい。この映画は小林正樹監督にして、宮島義勇カメラマンにして、そして俳優仲代達矢にして出来上がった作品で、日本映画史に残る、というか残すべき映画でした。第一部「純愛篇」、第二部「激怒篇」、第三部「望郷篇」、第四部「戦雲篇」、第五部「詩の脱出」、第六部「曠野の彷徨」と恐らく原作のタイトルを踏襲したのだろう。「人間が生きる」とはどんなことか。人間らしく生きるための基本的人権、最低条件とは何か。戦争、軍隊生活という不条理な世界、異常な環境、極限状況下であらわす人間の弱さ、醜さ。そんな過酷な条件の下で人は何を支えに生き続けていけるのだろうか。人間としての尊厳、ヒューマニズム、人との絆。いろんなことを考えさせられる映画でした。そして、どうしても、戦争を大震災、原発事故に置き換えて考えている私でした。時がたち、時代は変わり、文明が進歩しても、掛けがえのない家族や友がいて、希望と夢を持っていなければ、人はひとりでは生きられない。あらためて生きることの重みを感じさせてくれた映画でした。小林監督はじめこの作品を残してくれたスタッフの皆さま、そして懐かしい大勢の俳優のみなさんにこころからお礼を申します。、