「改訂版・アサーション・トレーニング」を読む

日本にアサーション・トレーニングを最初に紹介し、以来25年間その普及のために第一線で活躍されてきた平木典子先生の決定版ともいうべき本といわれてるだけに、中身が濃い一冊であった。中でも今回読んで特に衝撃を受けたところは、アサーティブになれない代表的なケースについて説明しているところで、その部分を下記に引用する。
自分の言うことが伝わるかどうかばかりを気にして、結果に気を奪われているとき、つまり失敗を恐れているときには、アサーティブになれません。自己表現で重要なことは、言いたいことが伝わるかどうかではなくて、自分の気持ちが適切に言えるか否かです。なぜなら、「伝わる」ということには自分の伝える行為と相手の受け取る行為の両方が関わっています。相手の受け取る行為は相手のものであり、受け取るかどうかは相手が自由に決めることができます。私たちは相手の自由を支配することはできませんから、伝わるかどうかはわからないし、それを怖れても仕方がないのです。(略)精一杯、自分の気持ちを表現することに、まず、エネルギーを注ぐことが先決なのです。そして、伝わらなかったら、さらに、コミュニケーションを続けるしかないのです。 
コミュニケーション力とは、自分の考えや気持ちをいかに相手に理解してもらうことができるかで、それは、「話し方」、「身ぶり手ぶり」を含め、「伝え方」の技術を身につけることと考えていた。もちろんそうしたスキルも大切なのであるが、その前に、自分の考えや、気持ちが自分のなかでしっかりまとめられ、確信できるものになっていなければ、適切に表現できるわけがない。言われてみれば当たり前のことであるが、その前提をいい加減にしておいて、伝え方の技術に頼ってなんとか誤魔化そうとしていた自分の考えに気づかされ恥ずかしい思いと、これからはもっと素直に自分の気持ちを言おうという思いとが微妙に絡まった。